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機械学習技術者が語る人工知能 第三回間違いだらけの行政の対応



Gagazineの皆様 こんにちは



今回は間違いだらけの政府の対応について見ていこう。


面白いあたりから行くとこの記事であるが、
記事リンク


「人間に投棄された「野良ロボット」が、権利付与を求めるケースを想定」
などということを総務省が議論しているわけである。
反乱を起こすことがまずありえないと思うが(第1回参照)、
なぜ反乱の仕方が「権利を求める」なのか。
まあ、あまり真剣に考えてもしょうがないのでこの件はこの辺りで。


さて、2016年4月頃にこんなPDFが話題になった。
自由民主党人工知能未来社会経済戦略本部というところが出しているメッセージで、
簡単に要約すると、
「日本の発展のためには、欧米に先駆けて人工知能を研究するために投資が必要ですよ」
ということなのだ。まあ大体のことは網羅されていて言っていることは間違っていない。

しかし、残念ながら関係者の間ではこのようなプロジェクトは失敗というか、なあなあなうちに
終わることが既定路線であることがわかっている。これまでも大体そうだったからだ。
まあこれまでそうだったからで済ますと記事の意味が無いので理由を書いてみる。


・国産AI

政府としては、
1.国産AIの技術を作る → 2.日本企業が儲かる → 3.税収が増える
という期待をしているのだと思う。
2016年2月には国産IoT OSを作るというニュース、

最近では国産AIプラットフォームを作るというニュースがあった。

しかし、ソフトウェアは野菜ではないので国産ならいいというものではない。
Googleやマイクロソフトが全世界に開発拠点を持っているように、
世界の英知を集めて作るほうが良いのである。

・なぜ国産はダメなのか


では国産で作るとどうなるだろうか。
NTTデータや日立などの有力企業が国から委託を受けて作ったり、
東大や京大などの有名大学からテーマを募集し研究に助成金を出したりすることになる。
それぞれの場合を見てみよう。

・有力企業に作らせる例


ソフトウェアシステムの例としてマイナンバーの基幹システムは
「NTTコミュニケーションズを代表とし、ほかにNTTデータと富士通、NEC、日立製作所が参加するコンソーシアムが落札した」とある。


これはほとんど公共事業なのでまあ許すとして、
同じことをIoTやAIのプラットフォームで行うとなにが起こるか。
(そもそも日本企業には作れないのではということは置いておいて)
国が主導で作ると各社が牽制して、どの会社も儲けられない状況になる。
Google一社が作るプラットフォームはGoogleにデータが集まり、
Googleがどんどん強くなる構造を持っているが、
日立が国から請け負った事業で日立にデータが集まる構造だったとしたら批判が大きい。
そのため、仮に良いものが作れたとしてもビジネス上の競争力を持たず、
ひいてはあとから参加する旨味もなく、衰退していく運命しかない。
税金で払われた何億ものお金は、誰も儲からないし誰も使わないシステムを作る社畜の残業代に消えることとなる。

・大学に補助金を出す例


では、大学に補助金を出す方向はどうだろうか。
こちらも大学がうるおい、有名な論文が出されることで、
やっぱり日本はすごいみたいな世論を醸成するには一役買うこともあり、
効果は否定するものではない。
が、日本の国力とかそういうことにはあまり寄与しない。

仮に、日本の研究者が優れた論文を発表すればどうなるか。
オープンソース・ソフトウェアがこぞってその技術を取り入れ、世界中でその技術が使われることとなる。
そのため、日本の研究者の名が売れるし、日本企業も使えるようになり嬉しいが、海外の企業も使えるため差別化にはならない。
特許で守れるのではと思うかもしれないが、ソフトウェアの技術は特許で簡単に守れるようなものではない。
例えば、構成要素AとBとCからなる技術を登録していたとして、BをB'に変えれば特許を避けることができる。
ハードウェアでもこれは同じだが、B'にすると大型化したり、材料費が余計にかかったりして、
特許を持っている会社と持ってない会社の間に差が生じる。
一方、ソフトウェアは多少構成を変えても少々遅くなるぐらいで別途材料費がかかったりはしない。
また、ソフトウェアの場合、サーバーやチップ等裏側で動くため、権利を侵害しているのか判断ができない場合が多い。
Googleが積極的に権利を侵害しているとは言わないが、
侵害しているのではないかと疑うことも難しいのだ。

・お金はどこへ行くのか

研究費がなにに使われるかというと、研究機材の購入もあるが、
大学の博士課程の学生の給料になったり、ポスドク(博士課程を卒業後、任期制の職についている研究者)の給料になったり、
彼らの海外の学会への渡航費、留学費になったりする。
ソフトウェアは結局のところ人なので、人に投資することに異論はないが、
博士やポスドクの就職難問題もあり、企業の、ひいては日本の競争力につながっているかは怪しい。
なお、海外の学会はだいたい、観光地などで開かれるので参加費が高く、無料で参加できるのは正直羨ましい。


以上、などなどの理由で、今の政府のやり方では、日本企業は活性化せず、未来のAI大国日本を作ることは難しい。
まあそんなの当たり前、それでいいやと全員が思っているのがまた難しい。

・ではどうすればいいのか

まず、気をつけなければいけない勘違いに、AIの技術がお金を生むというものがあるが、これは間違いだ。
ソフトウェアは、データを入れるとより価値のあるデータにして返す変換器のようなものである。
そのため、元のデータに価値がなければいくら技術があっても意味が無い。
また、10年前の技術では元データの価値を10倍にできていたとしたら、
最新鋭の技術では11倍にできる程度の進歩しか実はない。


結局のところ、ソフトウェア、特にAIの世界ではデータとデータを継続的に得て改善に使用できる環境がもっとも重要なのである。
このため、googleやmicrosoftは必死になってデータを集めているわけだ。
この点で日本企業は遅れを取っているとはいえ、
貴重なデータはまだまだ日本企業の中にも存在する。
それを餌にして技術を育て、更なるデータを獲得していくことが必要となる。


そのため、博士やポスドクに給料をばらまくのではなく、
積極的に企業の中に長期のインターンのような形で入ってもらい、
実践の場で技術を磨くのが良いだろう。
その後、お互いの合意で就職できるようにし、
場合によっては特許などの形で博士論文が認められるようにしても良い。

または行政や警察、自衛隊などの持つ情報を研究対象として、
自らがニーズを作り出すことも考えられる。
他に政府がやれることは規制緩和ぐらいであると思う。
個人情報保護法において、ホワイトゾーンを作り広げていくこと、
特区などで電波法などの規制を緩めること、
そうすれば、外国の企業もこぞって日本で事業を起こし、ひいては日本の発展に繋がる。
そのほうが国産AIにお金をばらまくより圧倒的に価値が有るのだ。

カテゴリ: サイエンス
2016年09月10日 12時05分22秒 Posted by neko_ug ( 6,146 PV ) 勢い:18


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コメント(リンクの記載「http://」は行えません)
1 名前:名無し@ガガリアン 2016/09/10(土)17:36:43. ID: 104b2d2dp
良記事
2 名前:名無し@ガガリアン 2016/09/10(土)18:15:51. ID: b078426ep
博士持ちぐらいの叡智が民間で活躍できればいいと思う。
どこぞのWeb商店街は英語で苦しんでるけど、まともな人がマネジメントに入れば海外の人も呼び込めるはず。
3 名前:名無し@ガガリアン 2016/09/10(土)20:13:59. ID: 2b24832fp
>>1
ありがとうございます。
>>2
最近、採用業務などもしていて思いましたが、博士とひとまとめにして考えてはダメですね。
結局いろいろな人がいてピンきりなので、博士の就職難と考えるのではなく、こういう特徴を持った博士の就職難とか個別で考えないといけないと思いました。
4 名前:名無し@ガガリアン 2016/09/11(日)21:16:09. ID: 56748f7ep
おもろかった
車売るのと同じ考えしか持ってねーんだろなあいつら
第二次世界大戦からアタマの中身を何一つアップデートしてないんだ……
そらもうソフトウェアなんぞ分かりません
早く日本滅びれ〜♪
5 名前:neko_ug 2016/09/12(月)01:20:01. ID: a9aca752p
>>4

護送船団方式の時代から変わっていないんでしょうね。
ハードウェアは日本企業連合でうまく回すってのが通じるかもしれませんが。ソフトウェアは一人勝ちにしないとやっていけない。
日本はいいところなので滅びないで欲しいですが。
6 名前:名無し@ガガリアン 2016/09/22(木)23:28:23. ID: b7969c41p
いまさら遅いの一言だろうな、Windows10をタダで提供してても情報を得られる方が今後価値が出るって判断だし
GoogleだってAndroidやchromeOSなどしっかり足場固めしてるし、いきなり金突っ込んでもAIがポーンと飛び出すわけがないんだよな
精々自動運転車の開発なら日本は先行できる可能性があるぐらいで、パーソナルなAIアシスタントとかは日本から出てこないわな
中国みたいに国外のサービスを使わせないようにして一から積み上げたほうが早いんじゃねーか?
7 名前:neko_ug 2016/09/26(月)08:09:55. ID: dd482d90p
まあ、いまさらというか昔から同じことをしてるんですよねえ。
第五世代コンピュータとか、情報大航海とか。詳しくはwiki
すごい基盤を作ればなんとかなるという発想も変わっていない
8 名前:名無し@ガガリアン 2016/09/26(月)11:07:53. ID: ce98ff70p
それよりもっと前の話で、日本人による日本のためのITサービスを提供するための障壁を作れなかったのが問題
それによってそれなりな人材を育てられていれば金次第でどうとでもなったかもしれない
9 名前:neko_ug 2016/09/28(水)23:31:00. ID: d1427f8ep
以前中国のベンチャーを見に行った時はそんな感じでしたね。
中国版Air B&Bを中国版Y comvinatorが育成していて、中国版tech chrunchが記事にするみたいな。
日本はどうなんでしょう。私としては日本は独自の文化的な障壁があったので十分独自のサービスが育ったかなと思っています。オタク文化があったのでニコ動ができ、いろいろな国の料理を家庭で作る文化があったのでクックパッドができ、独自の税制からfreeeが生まれ、みたいな。中国と違って内需のポテンシャルがものすごいということもないので、そこは違いですが。
10 名前:名無し@ガガリアン 2016/10/12(水)13:45:21. ID: 277e8011p
政府の役人共、あいつらAIのことを
「ピーガガガガガ…ゴシュジンサマ…次ハドウシマスカ?」
のようなイメージしか持っていないからなぁw
研究による積み重ねも00年代辺りから止めてしまったし、今後半世紀で日本は後進国に落ち込んでいくだろう
現在、日本人が受賞してるノーベル賞は90年代辺りまでの積み重ねによる結果だしね